情報更新日:2024年5月

今の時代だからこそ!
最適な住まいと出会うための
“我が家の場所選び”

今の時代だからこそ!最適な住まいと出会うための“我が家の場所選び”

「住まい選び」のポイントの一つは、立地条件です。立地は、間取りなどと異なり、リフォームをして自分の好みに変更することはできません。だからこそ、最初にじっくりと吟味し、最適な住まいの場所を選ぶことが大切です。「場所選び」のポイントをご紹介します。

「場所選び」が大切な理由

「いつまでも快適に暮らせる」ことを大切に、住まい選びを進めていらっしゃる方も多いことと思います。人生100年時代と言われる昨今、いつまでも快適に暮らせることは理想の住まいの条件の一つです。そのような住まい選びのポイントは、「変えられない事柄を優先する」ことです。

例えば、「間取や設備仕様は気に入ったけれど、場所が気に入らない」と言ってマンションを好きな場所に移動させることはできません。立地条件は変えられない事柄の筆頭です。気に入らない場所に住み続けることが、いかに快適でないか。想像は簡単です。一方、気に入った場所ならば、間取りや設備等をリフォームして快適に暮らし続けることも可能です。

また、場所は「古くならない」という点も重要です。例えば、将来に住替えの可能性があり、その際少しでも高く自宅マンションを売却したいと考えるならば、立地条件にこだわる必要があります。なぜならば、建物や室内の仕様が経年劣化するのに対し、場所は古くなりません。中古住宅市場において資産価値を維持するには、立地条件が重要ファクターになるのです。

「場所選び」は2起点でチェック

「住まいの場所選び」は、どのような点に注目すると良いのでしょう。エリア、行政区、最寄駅、住環境、生活利便施設、駅からの距離など、注目ポイントは多岐にわたります。マンションの立地条件をチェックする際は、2つの起点を意識することをお勧めします。2つとは、「最寄駅」と「購入予定マンションの所在地(現地)」です。両者間の徒歩分数や道路事情等の重要性は言うまでもありませんが、さらに、「最寄駅」と「所在地(現地)」の各々を起点とした利便性の確認も重要です。一つずつ見ていきましょう。

  • ●「最寄駅」を起点にチェック
    先ずは、重要な「最寄駅」と「所在地(現地)」の間をチェック。
    徒歩分数、道幅、歩道の有無、交通量、アップダウンの有無などの歩きやすさ、夜間の明るさ、安全性、治安について確認します。子どもさんがいらっしゃるならば、子どもさんの視点でのチェックも欠かせません。
  • 次に、最寄駅周辺をチェック。
    駅前の整備状況、利便施設の充実度、駐輪場、駐車場、バスやタクシーなど交通手段を確認します。タクシー事情は、雨の日に利用する場面などを想定してチェックしてみてください。交番や遅くまで開いているコンビニがあると、いざという時も安心です。
  • そして、最寄駅を起点に通勤や通学、電車利用の場合の交通利便性をチェック。
    乗換えの有無、混雑度、終電の時間など。よく利用する諸施設や実家など、電車移動のスムーズさを確認します。

●「所在地(現地)」を起点にチェック
物件購入後、「所在地(現地)」は「自宅」に変ります。まさしく生活の拠点ですから、場所選びは「所在地(現地)」を起点にチェックすることをお勧めします。所在地(現地)から最寄駅までのチェックは、前項に同じですが、注意したいのは時間帯。物件見学の時のようなピンポイントではなく、ライフスタイルに応じた時間帯を確認します。単身者やDINKS、ファミリーなどの家族構成や働き方によっても、外出する時間帯は異なります。朝夕の通勤・通学などは、自宅から最寄り駅までの道路や交通事情を確認しておくと安心です。

  • 場所選びで取組んで頂きたいのは、地図上に所在地(現地)を中心とした同心円を描いて確認することです。徒歩圏、自転車圏、乗用車圏などを想定して書き込んでみましょう。必ず利用する店舗や近くにあると嬉しい施設が徒歩圏に揃っているでしょうか。車利用の場合、同じ方向に生活利便施設がまとまっていると利用しやすいなど、生活場面をイメージして確認します。

未来志向の「場所選び」

子どもさんがいらっしゃる場合は、進学するにしたがって通学路が変わるため、現状とともに将来の進路に応じた学区や学校をチェックしておきましょう。また、子どものことだけでなく、自分自身のことも未来志向で考えてみてください。現役時代とリタイア後は、行動範囲も利用施設も変わる可能性大。いつまでも快適に暮らしている自分を想像して周辺環境を確認します。

現役時代、車で遠方に出かけていた方も、高齢になり自動車免許を返納すれば、活動範囲は地元中心になり、自宅周辺になりがちです。所在地(現地)周辺に歴史を感じる風情な街並みや公園、庭園などのグリーンスポットがあると散歩もウォーキングも、楽しめそうです。新居に何歳まで住むことになるのかを考慮し、5年後、10年後、20年後を想定して、所在地(現地)を中心にした同心円で住環境をチェックしましょう。

働き方の変容と「場所選び」

2020年4月に新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言が行われ、2023年5月に新型コロナが季節性インフルエンザなどと同じ感染症法上の「5類」へ移行するまで、私たちはいわゆる3密を避けるために、電車通勤から車通勤に変更したり、自転車を利用したりするケースが増えました。自転車利用ならば、自転車専用レーンが整備されている道路だと安心です。乗用車や自転車を利用する場合も所在地(現地)を起点にした地図でチェックしておくと安心です。

また、新型コロナの影響で、在宅勤務やテレワークが増えたご家庭も多いことと思います。国土交通省が2023年5月30日に発表した「新型コロナ感染症の影響下における生活行動調査(第三弾)」によれば、買い物や外食、娯楽といった人々の活動場所の傾向は、新型コロナ流行前の傾向に概ね戻ってきていて、コロナ禍でいっきに増えたテレワークについては、就業者のうち、週1日以上勤務先以外の場所で仕事をするテレワーク実施者の割合が、緊急事態宣言中に大きく増加したのち、2020年8月には減少、その後は4割強の水準となっています。

また、内閣府の2023年3月の調査によれば、テレワーク実施率は地域によって異なり、東京23区は51.6%、全国では30.0%、地方圏では23.1%という結果です。地域による違いのほか、就業形態によっても異なり、ご自身やご夫婦の個々のケースを考える必要あります。先の国土交通省の調査では、在宅勤務を実施する人は、勤務時間が短く、余暇の時間が長い傾向にあること、さらに人々の求める都市施策として、「ゆとりある屋外空間の充実」や「自転車や徒歩で回遊できる空間の充実」へのニーズが引き続き高いことも確認されており、参考になりそうです。

リモートワークで地方移住という「場所選び」

在宅勤務やテレワークが継続し、夫も妻も子供も在宅という状況に対応したワークスペースや間取り、広さへのニーズが高まります。自分を隔離できる居場所の確保も大切です。

利便性の良い都心の住宅に、広さや機能を求めると、高額にならざるを得ません。住宅ローン金利も上昇傾向にあるなか、家計に負担となる無理な資金計画は要注意です。都心を避け、郊外や地方で住宅を購入するならば、同じ予算でテレワークのスペースを確保でき、部屋数を多く、面積を広くすることが可能かもしれません。また、同条件の住宅を都心よりも低価格で購入することもできそうです。

緊急事態宣言が出されていた5月、東京都の人口が比較可能な2013年7月以降で初めて転出超過になったと話題になりました。都心のオフィスを閉鎖して地方へ移転する事業所も出てきて、地方では移住相談の問いあわせが増加しました。

出勤しなくてもテレワークで仕事が完了するならば、住まいの場所は関係ありません。地方への転居は、広くて快適な住まいと都心では得られない住環境を獲得できる選択肢のひとつです。新型コロナは、住む場所選びの選択肢を大いに拡げたと言えます。

考えておきたいのは転居後です。新型コロナが5類へ移行となり、テレワークの実施率も低下しています。2023年の東京都の人口は、転入が転出を上回る「転入超過」が、2022年よりも3万人余り増えて6万8285人となりました。新型コロナ前の東京一極集中の動きに戻りつつあり、総務省では、若い世代が就職や進学で転入していると見られるとしています。

地方移住や郊外へ転居する際のリスクのひとつは、自宅を売却して都心に戻るケースです。売却価格が住宅ローンの残債を下回るケースや、都心のマンションほど簡単には売却できない可能性を考慮しておきましょう。住替えるケースもそうでない場合も、中長期視点で検討しておくことが大切です。

郊外や地方へ転居すると、住環境、教育環境、通勤利便性が一転します。一度購入すると住替えは簡単ではありません。目の前の快適性だけを求めるのでなく、自分と家族のキャリアプラン・ライフプランを十分に考慮した立地条件の検証が必要です。

災害リスクを知り、納得の「場所選び」を

  • 災害列島と言われる日本です。日本国に居住する限り、災害と隣り合わせであることを肝に銘じておく必要があります。地震など突然に見舞われる災害への備えのほか、津波、洪水、土砂災害等は、国土交通省のハザードマップポータルサイトで、地域の災害リスク情報を確認できます。自分や家族の安全・安心を守るのは、自分自身です。「知らなかった」では済まされません。確かな情報を入手し、納得の「場所選び」を進めてください。

様々なリスクに備えるには、資金計画に余裕を持つことも大切です。将来の住替えやリフォームが想定されるならば、ギリギリの予算で購入しないこと。住宅ローンを返済しながらも貯蓄ができる返済計画を心掛けましょう。最適な住まいと出会うための「場所選び」を心より応援しています。

※掲載の情報は2024年5月現在
※掲載の情報を著作権者に無断で転載・使用することはできません
※詳しくは税務署、関係省庁のホームページでご確認ください

ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
宅地建物取引士・産業カウンセラー・自分予算®プランナー
大石 泉

(株)リクルートにて週刊住宅情報(現SUUMO)の編集・制作に約15年携わった後、
2001年にFP事務所を設立。
「住まい、キャリア、マネー」の3つの柱で個人の豊かな暮らしをサポートする。