我が家の“まさか”に役立つ「地震保険」。正しく知って賢く備えよう!

我が家の“まさか”に役立つ「地震保険」正しく知って賢く備えよう!

発生予測が難しく一度起こると大きな被害となりかねない地震。地震保険は自宅建物と家財が被った損害を補償する保険です。我が家の”まさか”に備える地震保険のポイントをご紹介します。

知っておきたい!地震保険のポイント10

  • 地震保険とは?

地震保険は、地震・噴火またはこれらによる津波を原因として、自宅建物と家財が被った損害(火災・損壊・埋没・流失)を補償する保険です。地震災害による被災者の生活の安定に寄与することが目的です。

  • 地震による火災は、火災保険では補償されない!?

「地震で発生した火災によって自宅が焼失したら火災保険で補償される」と思いがちですが、地震に伴う火災や津波による建物等の損害は、火災保険では補償されません。地震災害は予測が困難な上に一度発生すると被害が甚大になるという特性のため、民間の保険会社だけでは補償責任を負えない可能性があるからです。地震保険は「地震保険に関する法律」に基づき、政府と民間の損害保険会社が共同で運営しているのが特徴です。地震による災害の備えのために、地震保険の加入を検討しましょう。

  • 地震保険は単独で契約できない!?

地震保険は、火災保険とセットで加入しなければなりません。地震保険は、火災保険で補償されない地震による火災の損害補償等を補完する目的で作られています。

  • 地震保険の保険金額は、火災保険の最大50%

地震保険の保険金額は火災保険の保険金額が基準です。保険金額は、火災保険金額の30%~50%との範囲内で設定します。保険金額には上限があり、建物は5000万円、家財は1000万円まで。例えば、建物の火災保険の保険金額が2000万円だとすると、地震保険の保険金額は最大で1000万円です。

  • 地震保険の保険金額の支払われ方

地震保険では、保険対象の建物または家財が全損、大半損、小半損、または一部損となったときに保険金が支払われる仕組みです。これらの区分は、地震発生後に迅速に保険金を支払うためにあります。建物の損害は主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額や焼失・流失した部分の床面積の割合により判定し、家財も損害額で判定します。なお、損害の程度が一部損に至らない場合は、保険金は支払われません。(下表参照)

  • 2021年1月から地震保険基準料率が全国平均5.1%アップ!

2017年1月から3段階で行われた地震保険基準料率の改定が、2021年1月に3回目が実施されました。今回の引き上げは、全国平均で+5.1%。1回目からの改定は+17%となりました。一連の改定は、2014年に東北地方太平洋沖地震を踏まえた震源モデルの見直しや住宅・土地統計調査等の基礎データを更新した結果を受けたものです。引き上げ幅が大きいため、3段階に分けて改訂が行われました。なお、料率の改定により地震保険の保険料は、上がる地域もあれば下がる地域もあります(下表参照)。

【地震保険料の一例】
(保険金額1,000万円、イ構造(耐火建築物)、割引なし、保険期間1年間の場合)

  • 保険料は建物構造と建物所在地で決まる!

地震保険の保険料は、保険金額に「基準料率(=保険料率)」を乗じて計算します。保険料率は、「基本料率×割引率×長期係数」で決まり、基本料率は「建物の構造」と「建物の所在地」によって決まります。危険度が高いとされる建物と地域ほど保険料が高くなる仕組みで、低いものには割引率が適用されます。

建物の構造は「2区分」

■構造区分

構造区分 基準
イ構造 耐火建築物、準耐火建築物および省令準耐火建物等
ロ構造 イ構造以外の建物

地震の揺れによる損壊や火災による焼損の危険度で判断します。マンションは、「イ構造」に該当します。

建物の所在地による等地区分は「3区分」

地域別の地震による危険度を考慮した区分です。1等地は、新潟県、兵庫県、鳥取県、熊本県など。2等地は、宮城県や福島県、愛知県、大阪府など。3等地は東京都、神奈川県、静岡県、茨城県などとなっています。

適用される割引率は「4種類」

マイホームの耐震性に応じて割引が受けられます。「免震建築物割引(割引率50%)」「耐震等級割引(同10%・30%・50%)」「耐震診断割引(同10%)」「建築年割引(同10%)」など条件に応じて割引率が適用されます。対象は、免震マンションや耐震性の高い住宅(住宅の品質確保の促進等に関する法律等に規定された耐震等級1〜3に該当する居住用建物など)です。「建築年割引」は、1981年6月1日以後に新築された居住用建物であれば、割引率10%が適用されます。

※保険料と保険金のシミュレーションは、下記のサイトを参照。

地震保険特設サイト(日本損害保険協会)
https://www.jishin-hoken.jp/price/

  • 契約期間が長いほど保険料はお得!?

地震保険の保険期間は、1年および長期(2年~5年)です。保険期間が2年~5年(長期保険保険料払込特約条項を付した契約)の保険料は長期係数を乗じて算出され、保険期間が長くなるほど割引が大きくなります。家計に無理の無い保険料を基本に長期契約を検討しましょう。なお。2021年1月に長期係数が見直され、3年~5年契約の割引率が低くなりました。

  • 地震保険の保険料は、どの保険会社も同じ!?

地震保険は、どの会社で加入しても補償範囲、補償内容、保険料は同じです。生命保険や医療保険のように「各社を比較してより良い保障でより安い保険料のプランを選ぶ」などの必要はありません。地震保険は、法律に基づいて政府と損害保険会社各社が運営する国の制度のため同一に設計されています。大切なのは、地震保険にセットされる「火災保険選び」です。

地震保険の付帯率は、右肩上がり!

地震保険は火災保険とあわせて契約する仕組みですが、その付帯の割合を示したのが付帯率です。指標損害保険料率算出機構のデータによれば、2019年度の地震保険・付帯率は66.7%。2019年度に契約された火災保険の66.7%が地震保険を契約していることになります。全国平均の付帯率は上昇傾向です(下記グラフ参照)。

■地震保険の付帯率推移(全国)

※「付帯率」とは、当該年度中に契約された火災保険契約(住宅物件)に地震保険契約が附帯されている割合。

※グラフの付帯率は、居住用建物および家財を対象として損害保険会社が取り扱っている「地震保険」のみの数値であり、各種共済については含みません。

  • 地震保険の保険金だけで自宅は再建できない!?

「地震保険に関する法律」では地震保険の目的を「地震等による被災者の生活の安定に寄与すること」と定めています。「Point4」のとおり、地震保険の保険金額は、最大で火災保険金額の50%です。火災保険の保険金額が2,000万円であれば、地震保険で支払われるのは、全損で1,000万円、大半損で600万円。自宅の再建築費用と一定期間における生活再建費用を充分に満たすには厳しい状況と言えるのではないでしょうか。
地震保険の目的は、被災者の生活の安定であって、必ずしも自宅の再建築ではないのです。損害保険会社によっては、地震保険の上乗せ補償を扱ったり、自宅再建費用として使える保険を取り扱ったりしています。

備えあれば憂いなし。
我が家を総点検して地震に強い家にしよう

地震保険は、火災保険とセットで加入しなければなりません。マンション購入時や住宅ローン利用時に契約した火災保険に地震保険を付帯していない場合は、後で付加することも可能です。まずは、ご自身の火災保険の内容、地震保険の契約の有無を確認しましょう。なお、地震保険の保険料は、所得税等の控除の対象です。詳細は、下記国税庁のサイトをご覧ください。

地震保険料控除 国税庁

地震保険で備えることに合わせて、日頃からの備えも大切です。災害時に心配なのは家族の安否です。家族との連絡方法や集合場所、避難先を共有しておきましょう。近年発生した地震では、ケガをした人の約半数が家具類の転倒、落下、移動が原因でした。家具や電化製品をしっかり固定すること。ベッドやソファとの位置関係や、出口を塞がないような配置も重要です。古いマンションの場合は耐震診断を受けることも必要です。マンションの管理組合の取り組みなども確認し、防災訓練などには積極的に参加したいものです。「備えあれば憂いなし」。自分と家族の豊かな暮らしのために、我が家の“まさか”に備えましょう。

※掲載の情報は2021年5月現在
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ファイナンシャル・プランナー
(CFP®) 宅地建物取引士
産業カウンセラー・自分予算®プランナー
大石 泉

(株)リクルートにて週刊住宅情報(現SUUMO)の編集・制作に約15年携わった後、2000年に独立。2001年、FP事務所を設立。
「住まい、キャリア、マネー」の3つの柱で個人の豊かな暮らしをサポートする。