住宅ローンの借換え

住宅ローンの借換え

住宅ローンの総返済額や毎月の返済額が減額できる可能性のある「借換え」。現在返済中の住宅ローンを見直し、ご自身の希望を満たす返済プランを考えてみませんか。

住宅ローンの返済プランを見直してみませんか

経済が動いて金利が変動し、収入や支出といった家計の状況も変化しています。現在の金利水準は低く、数年前に借入れた住宅ローンであっても、プランによっては「借換え」によって総返済額を減らすことができる場合も多くあります。超低金利が続く中、住宅ローンを見直すことで我が家により適した住宅ローンプランにすることも可能です。今回は「住宅ローンの借換え」についてご紹介します。

「住宅ローンの借換え」について

住宅ローンの借換えは、現在返済中の住宅ローンを新たに借入れた住宅ローンで完済し、新たな借入先となる金融機関へ返済を行っていく仕組みです。現在の住宅ローン契約は終了し、新たな契約がスタートします。借換えには、変動金利タイプの住宅ローンを固定金利の「フラット35」へ借り替えたり、「フラット35」を10年固定タイプに借り替えたり、という金利タイプを変更するプランのほか、「フラット35」から「フラット35」へ借換えるなど、金利差を利用するケースもあります。

住宅ローンの返済プランの見直しには、繰上返済や返済条件変更などがありますが、これらは返済中の住宅ローンで行うため、現在の契約が継続します。一方、借換えは、契約そのものが新しくなる点が異なります。

住宅ローンの借換えの事前準備

「借換え」を行う前にやっておきたいことは二つです。

●「現状把握」
先ずは、現在の住宅ローンの確認です。残高、残りの返済期間、金利のタイプ(変動、固定、期間固定)、返済中の金利、返済方法、返済額など。特に、金利タイプについては重要です。固定期間タイプであれば、何年後に固定期間が終了するか。また、優遇金利が適用されているならば、基準金利と優遇幅もチェックしておきたいポイントです。

「希望の整理」
変更したい条件や見直したい項目をピックアップします。例えば、「世の中の金利が下がっているので自分の住宅ローン金利も下げられないだろうか」、「金利が上昇しそうなので、今のうちに固定金利へ変更したい」、「毎月返済額を減額したい」、「返済期間を短くしたい」など。希望条件やその優先順位によって、見直しプランも異なります。

後でも触れますが、借換えにはコストがかかります。この「現状把握」と「希望の整理」の事前準備ができれば、低コストで借換え以外の方法を見つけられるかもしれません。まずは、現状把握と希望を整理してみましょう。

◎希望条件をピックアップし、見直し方法を考えてみましょう。

住宅ローンの借換えは、効果とコストのバランスがポイント

返済期間短縮やボーナス返済をやめたいなど返済方法の変更は、返済中の住宅ローンの条件変更や繰上返済で対応できます。ところが、金融機関を変更するなどの場合は住宅ローンの借換えが必要です。借換えは、条件変更より手数料等の諸費用が高くなるため、多くの選択肢を検証して、実行することが大切です。

「総返済額を減らしたい」と低い金利の住宅ローンに借換えして毎月返済額が下がったが、コストがかかって総返済額が変わらなかった、だとすると、希望を叶えたことにはなりません。借換えメリットを決めるのは、金利差とコストです。

住宅ローンの借換えコスト(諸費用)

借換えは新たに住宅ローンを借入れるため、金融機関手数料、保証会社手数料、保証料、団体信用生命保険料、印紙税、登記関連手数料など、諸々の費用が必要です。ただし借換えの場合は、返済が進んで残高が減り返済期間も短くなっているため、金額や期間に連動する諸費用(保証料や保険料等)は当初と比べると低くなります。

また、契約条件にもよりますが、現在の住宅ローンを解約することで保証料など返還される諸費用もあります。一方で、当初には不要であった、抵当権抹消費用などが新たに生じます。諸費用の項目や金額は金融機関や住宅ローンによって異なるため、前もって調べて比較検討し、もっとも効果のある借換え先を選択したいところです。金利の低さだけでなく、初期コストや返済中のコストなど、総合的な比較が重要です。

金融機関によっては、ホームページで借換えシミュレーションが簡単にできるサービスを行っているところもあります。自分だけで試算することが不安な場合は、ファイナンシャルプランナーなど、プロと一緒に試算し比較検討できると効率が良く効果的です。

住宅金融支援機構「借換えシミュレーション」

残高が「多い」、残返済期間が「長い」、ならば借換えを検証しよう

10年前に3500万円を長期固定の住宅ローン「フラット35」金利2.35%・35年元利均等返済で借入れた住宅ローンを同じ「フラット35」・金利1.28%(返済期間21年以上借入金が住宅価格の90%以下の場合)に借り換える場合で試算してみましょう。
※「フラット35」とは住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定型の住宅ローンです。

10年経過後の残高は27,732,236円です。借換えが成立すれば、毎月返済額は122,327円⇒108,067円になり14,260円を減額でき、残りの返済期間25年分の減額合計は4,277,927円にもなります。仮に、借換えに伴う手数料等を60万円支払ったとしても約367万円のメリットが出る試算です。減額できた毎月14,260円を25年間積み立てれば427.8万円。運用がうまくいけば、それ以上のメリットも期待できそうです。

借換えによるメリットは、欲しいものを我慢するような節約とは異なり、健康的だと言えるのではないでしょうか。是非一度、現在の住宅ローンの借換えプランを試算してください。

◎借換え試算(例)

現在返済中の住宅ローン 借換え試算 軽減効果
残元本:27,732,236円
残期間:25年
返済金利:2.35%(固定)
元本:27,732,236円
返済期間:25年
返済金利:1.28%(固定)
 
毎月返済額:122,327円 毎月返済額:108,067円 毎月返済額の差:14,260円
残期間に対する総返済額:36,698,100円 総返済額:32,420,173円 総返済額(利息)の差:4,277,927円

借換えのコストを支払ってもメリットが出る条件は、金利差1%以上、残高500万円以上、残返済期間10年以上が目安だと言われています。ですが、「残りの期間は10年も無いが、残高が2000万円ある」「金利差は1%未満だが、残高が多く、残期間も長い」など、3つの条件を満たさなくても、借換え効果が出る場合が多いため、試算をお勧めします。

住宅ローンの借換えで、自分にあった返済プランを実現しよう

借換えの手順は、「確認」⇒「把握」⇒「検証」です。先ずは、住宅ローンプランをどうしたいか、「返済額を減らしたい」「金利の上昇リスクを抑えたい」「返済期間を短くしたい」など希望条件を抽出、確認することから始めます。次に、現在の住宅ローンの状況や条件を把握。そして、借換え以外の選択肢も含めて希望条件が叶う方法を検討、検証していきます。

単純に住宅ローン残高と残期間を借り換える方法もあれば、借換えのタイミングで一部繰上返済をし、毎月返済額を金利差以上に減額したり、返済期間を短縮したりすることも可能です。どのような借換えをするかによって効果もコストも異なります。是非、希望条件を書き出して優先順位をつけておきましょう。「定年までに完済したい」「総返済額を減らしたい」のであれば、借換えの際に手持資金を投入し、期間短縮型の一部繰上げ返済を組み合わせると有効です。ただし、手持ち資金は余裕資金であることが原則です。住宅ローンプランへの希望条件をすべて書き出し、優先順位をつけたら、金融機関へ相談しプロのアドバイスを受けましょう。豊かな暮らしの実現へ向けて、住宅ローンを見直してください。

注意したい、借換えできない場合の一例

最後に、借換えできない場合についてもみておきましょう。住宅ローンの借換えは、既にお話しした通り、金融機関と新たに住宅ローンの契約を行います。よって、借入時には、当初と同じく、金融機関の審査を受けることとなり、審査に通らなければ借換えはできません。また、金融機関や住宅ローンによって借換え条件(金利や諸費用含む)も異なります。新規借入と借換えの場合で金利に差が異なる金融機関もあります。複数の金融機関と借換えプランで比較検討し、ご自身に最適な借換えを実行ください。

◎借換えできない場合の一例

※金融機関によって、借換えの可否や審査基準が異なります。

□独立・転職の直後で、勤続年数が短い場合
□収入が減少している場合
□自己居住用から賃貸住宅に転用した場合
□現在の住宅ローン等において延滞履歴がある場合
□健康状態により団体信用生命保険が通らない場合(「フラット35」は団体信用生命保険・未加入の場合も利用可)

※掲載の情報は2021年11月現在
※掲載の情報を著作権者に無断で転載・使用することはできません
※住宅ローンについて詳しくは、住宅金融支援機構、または、各金融機関のホームページ等をご覧ください。

ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
宅地建物取引士・産業カウンセラー・自分予算®プランナー
大石 泉

(株)リクルートにて週刊住宅情報(現SUUMO)の編集・制作に約15年携わった後、2000年に独立。
「住まい、キャリア、マネー」の3つの柱で個人の豊かな暮らしをサポート。