低金利のうちに「借換えメリット」を利用しよう!

住宅ローンの借換え

住宅ローンの総返済額や毎月返済額を減額する「借換え」。返済額を減らすための借換えは、金利差が重要ポイント。低金利のうちに、借換えを検討してみましょう。

返済中の住宅ローンで、見直したいポイントは何ですか?

住宅を購入し、住宅ローンの返済がスタートしたのは、何年前でしょう。経済情勢が変化し、働き方やライフスタイルが進化し、収入や支出などの家計状況も変化しているかもしれません。住宅ローンを見直すことで我が家の現状にさらに適した返済プランになるならば、検討してみる価値が大いにあります。

住宅ローンの見直しの選択肢は様々です。低金利が続く間は、金利差を利用して支払額を減らす「借換え」が有効。我が国はまだまだ低金利です。が、世界を見回すと金利は上昇傾向。米国の中央銀行にあたるFRBは金融緩和から金利引上げへ政策を変更。米国と日本の金利差が広がることで、ドル買い・円売り進みます。急激な円安は、住宅関連の輸入資材の高騰を招き、住宅購入やリフォームに影響を与えています。

そのような状況のなか、日銀は金融緩和政策を継続し、このまま低金利が続くのでしょうか。低金利の恩恵を受ける借換えの賞味期限が迫っているのかもしれません。今回は「住宅ローンの借換え」についてお話しします。

「住宅ローンの借換え」とは

住宅ローンの借換えは、現在返済中の住宅ローンを新たに借入れた住宅ローンで完済し、新たな借入先となる金融機関へ返済を行っていく仕組みです。現在の住宅ローン契約は終了し、新たな契約がスタートします。借換えには、変動金利タイプの住宅ローンを固定金利の「フラット35」へ借換えたり、「フラット35」を10年固定タイプに借換えたり、という金利タイプを変更するプラン。「フラット35」から「フラット35」へ、変動金利から変動金利へ、という同タイプで借換えし、金利差を利用して返済額を減らすプランなどがあります。

住宅ローンの返済プランの見直しには、繰上返済や返済条件の変更等がありますが、これらは返済中の住宅ローンの条件変更のため、現在の契約が終了することはありません。借換えは、契約そのものが新しくなる点が異なります。

住宅ローンの借換えの事前準備

「借換え」を行う前にやっておきたいことは二つです。

●「現状把握」
先ずは、現在の住宅ローンの確認です。残高、残りの返済期間、金利のタイプ(変動、固定、期間固定)、返済中の金利、返済方法、返済額などを把握します。特に、金利タイプについては重要です。固定期間タイプであれば、何年後に固定期間が終了するのか。優遇金利が適用されている場合は、基準金利と優遇幅もチェックポイントです。

●「希望の整理」
変更希望の条件や項目をピックアップします。例えば、「世の中の金利が下がっているので自分の住宅ローン金利も下げられないだろうか」、「金利が上昇しそうなので、今のうちに固定金利へ変更したい」、「毎月返済額を減額したい」、「返済期間を短くしたい」など。希望条件やその優先順位によって、見直しプランが異なります。

借換えにはコストがかかります。「現状把握」と「希望の整理」の2つの事前準備ができれば、借換え以外で手数料が安価な方法が見つかるかもしれません。現状把握と変更希望項目を整理しましょう。

希望条件をピックアップし、見直し方法を考えてみましょう。

住宅ローンの借換えは、効果とコストのバランスがポイント

返済期間短縮やボーナス返済の停止など返済方法の変更は、返済中の住宅ローンの条件変更や繰上返済で対応できます。より好条件の金融機関へ変更を希望する場合は住宅ローンの借換えです。借換えは、条件変更より手数料等の諸費用が高くなるため、試算して比較検討し、最適な借換え先とプランを絞り込みます。

例えば、「総返済額の減額」を目的に低金利の住宅ローンに借換えた場合に、「毎月返済額は下がったが、借換え手数料が高額で、支払総額は変わらなかった」とするとどうでしょう。手間をかけただけの借換えは、希望や目的を達成したとは言えません。借換え効果を得るには、金利差だけでなくコストの検証が重要です。

住宅ローンの借換えコスト(諸費用)

借換えは新たに住宅ローンを借入れるため、金融機関手数料、保証会社手数料、保証料、団体信用生命保険料、印紙税、登記関連手数料など、諸々の費用が必要です。ただし、借換えの場合は、当初より借入残高が減っていて、残りの返済期間も短くなっているため、借入額や返済期間に連動する諸費用(保証料や保険料等)は、購入時よりも少なくなります。

また、保証料など現在の住宅ローンを解約すると返還される諸費用もあります。一方で、当初には不要であった、抵当権抹消費用などが新たに生じます。諸費用の項目や費用は金融機関や住宅ローンによって異なります。必要情報を収集して試算、比較検討してもっとも効果の高い借換え先を選択します。金利、諸費用、返済条件等、総合的な比較が重要です。

住宅金融支援機構や金融機関のホームページでは、借換えシミュレーションを提供しています。簡単なものから、数プランを比較できるものもあり、自分で試算する際に役立ちます。試算が不安な場合や試算結果の分析や評価は、ファイナンシャル・プランナーなどプロの助言を求めることも一考です。

●住宅金融支援機構「借換えシミュレーション」

残高が「多い」、残返済期間が「長い」、ならば借換えを検証しよう

11年前に3500万円を「フラット35」金利2.63%・35年元利均等返済で借入れた住宅ローンを、同じ「フラット35」・金利1.44%(返済期間21年以上借入金が住宅価格の90%以下の場合)に借り換える場合で試算してみましょう。
※「フラット35」とは住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定型の住宅ローンです。

11年経過後の残高は27,223,253円です。借換えが成立すれば、毎月返済額は127,575円⇒111,854円。減額幅は、15,721円です。残りの24年間の総返済額の差(減額合計)は、約450万円にもなります。
仮に、借換えに係る手数料等を60万円支払ったとすると、約390万円のメリットが出る試算です。減額される毎月の金額のうち15,000円を24年間積み立てれば432万円、1.5%の複利運用ですと、515万円です。お金は目的に応じ、適材適所へ振り向けると効果的です。

借換えは、欲しいものを我慢するような節約とは異なり、心理面でも健康的だと言えます。「借換えの試算をしたことがない」「試算したことはあるが大昔だ」という方は一度、現状の我が家の数字を元に、住宅ローンの借換えを試算されることをお勧めします。

■借換え試算(概算)

現在返済中の住宅ローン 借換え試算 軽減効果
残元本:27,223,253円
残期間:24年
返済金利:2.63%(固定)
元本:27,223,253円
返済期間:24年
返済金利:1.44%(固定)
 
毎月返済額:127,575円 毎月返済額:11,854円 毎月返済額の差:15,721円
残期間に対する総返済額:36,741,600円 総返済額:32,213,867円 総返済額(利息)の差:4,527,733円

※1 借入れは、10万円単位。比較のために1円単位で試算。

借換えのコストを支払ってもメリットが出る条件は、金利差1%以上、残高500万円以上、残返済期間10年以上が目安だと言われています。ですが、「残りの期間は10年未満だが、残高が2000万円以上」「金利差は1%未満だが、残高3,300万円あり、残期間も10年以上」など、3つの条件を満たさなくても、借換え効果が出る場合は多々あります。自分の数字で試算することが第一歩です。

住宅ローンの借換えで、自分にあった返済プランを実現しよう

借換えの手順は、事前準備も含め、「把握」⇒「整理」⇒「試算」⇒「検証」⇒「実行」です。先ずは、現在の住宅ローンを把握、そして、住宅ローンプランをどうしたいか、「返済額を減らしたい」「金利の上昇リスクを抑えたい」「返済期間を短くしたい」などの希望条件の整理。

続いて、希望に沿って情報収集し、試算。借換え以外の選択肢も含めて希望条件が叶うプランを絞り込んで検証します。そして、確信が持てたら、実行です。

借換え方法には、単純に住宅ローン残高と残期間を借換える方法もあれば、借換え時に一部繰上返済をし、毎月返済額を金利差以上に減額したり、返済期間を短縮したりすることも可能です。どのような借換えをするかによって効果もコストも異なります。希望条件を書き出す際、優先順位をつけると効果的です。

優先順位が「①定年までに完済したい」「②総返済額を減らしたい」ならば、借換えの際に手持資金を投入し、期間短縮型の一部繰上げ返済を組み合わせると効果大です。もちろん、投入する資金は余裕資金であることが原則です。優先順位の高い条件をクリアし、住宅ローンの最適化を図りましょう。

要注意!借換えできない場合の例

最後に、借換えできない場合についてもみておきましょう。住宅ローンの借換えは、既にお話しした通り、金融機関と新たに住宅ローンの契約を行います。よって、借入時には、当初と同じく、金融機関の審査を受けることとなり、審査に通らなければ借換えはできません。新規購入時に審査に合格しているため、借換え時は「建物」よりも「借りる人」の条件がより重要となります(下表参照)。

■借換えできない場合の例

※金融機関によって、借換えの可否や審査基準が異なります。

□独立・転職の直後で、勤続年数が短い場合
□収入が減少している場合
□自己居住用から賃貸住宅に転用した場合
□現在の住宅ローン等において延滞履歴がある場合
□健康状態により団体信用生命保険が通らない場合(「フラット35」は団体信用生命保険・未加入の場合も利用可)

借換え条件(金利や諸費用含む)は、金融機関や住宅ローンによって異なります。新規借入と借換えで金利が異なる金融機関もあります。金利とコストが低い金融機関を数行ピックアップして試算。希望条件を叶える最適な借換えを実行ください。希望条件を書き出し、優先順位をつけた段階で、住宅ローンの専門家や絞った先の金融機関へ相談しに行くのも効果的です。豊かな暮らしの実現へ向けて、住宅ローンを見直してみましょう。

※掲載の情報は2022年4月現在
※掲載の情報を著作権者に無断で転載・使用することはできません
※住宅ローンについて詳しくは、住宅金融支援機構、または、各金融機関のホームページ等をご覧ください。

ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
宅地建物取引士・産業カウンセラー・自分予算®プランナー
大石 泉

(株)リクルートにて週刊住宅情報(現SUUMO)の編集・制作等に約15年携わった後、2001年にFP事務所を設立。
「住まい、キャリア、マネー」の3つの柱で個人の豊かな暮らしをサポート。