「すまい給付金」は、現金給付で住宅購入者をサポート

「すまい給付金」は、現金給付で住宅購入者をサポート

「すまい給付金」は、住宅ローン控除と同じく消費税率引上げによる住宅の購入負担を緩和する制度です。どのような仕組みか、対象者や要件などについて解説します。

「すまい給付金」は、現金給付で負担を軽減

「すまい給付金」は、消費税率引上げによる住宅購入者の負担を緩和するために導入された制度です。負担緩和と言えば、「住宅ローン控除」制度がありますが、「住宅ローン控除」は、支払っている所得税等から控除する仕組みであるため、収入が低いほど減税効果が小さくなる仕組みです。
一方、「すまい給付金」制度は、主に住宅ローン控除の拡充による負担軽減効果が十分に及ばない収入層を対象としており、住宅ローン控除とあわせて消費税率引上げによる住宅購入の負担軽減をはかる内容です。収入によって給付額が変わる仕組みで、収入が低いほど給付基礎額は大きくなる仕組みです。

「住宅ローン控除」については、コラム‘「住宅ローン控除」13年間の延長適用は令和3年11月の契約まで’を参照ください。

それでは、「すまい給付金」について、ポイントを確認しておきましょう。

【適用期間】令和3年11月(マンション等、分譲住宅)までに契約すると令和4年12月の入居分までが対象に

すまい給付金制度が対象となるのは、消費税率が適用される住宅で、原則令和3年12月末までに引渡しと入居が完了したものです。ただし、一定期間内(※1)に契約すると、令和4年12月末までに引渡されて入居が完了した住宅までが対象となります。

(※1)入居時期が令和4年12月末まで延長される場合の契約期限
・注文住宅の場合:令和3年9月末まで
・分譲マンション・分譲住宅・中古住宅の取得の場合:令和3年11月末まで

「給付額」は、年収と持分で決まる

すまい給付金の給付額は、上記の計算式で決まります。住宅ローン控除のように「借入残高の1%」という形式ではなく、「給付基礎額」があらかじめ規定されていて、住宅ローンを利用する場合は、10万円・20万円・30万円・40万円・50万円の5種、住宅ローンを利用しない場合は、20万円・30万円・40万円・50万円の4種です。

「給付基礎額①」は、収入に応じて決まる都道府県民税の所得割額を用いて決定します。よって、自分の給付基礎額は、市区町村が発行する個人住民税課税証明書に記載されている「都道府県民税の所得割額」で確認します。課税証明書には、発行年度の前年の収入により決定される都道府県民税の所得割額が証明されています。毎年6月頃に前年分の所得に更新されます。

「持分割合②」とは、住宅に対する所有権の割合です。
例えば、息子夫婦が4,000万円の新居を取得するケースで考えてみましょう。実家暮らしの父親が1,000万円の頭金を出し、息子が2,000万円、息子の妻が1,000万円の住宅ローンをそれぞれ借入れて新居を3人の共有名義とする場合、住宅の持分は、父親が4分の1、息子が2分の1、妻が4分の1となり、これを登記簿に記載します。すまい給付金では建物の登記事項証明書(権利部)で持分割合を確認します。

上記の例で、それぞれの収入を父親300万円、息子650万円、息子の妻200万円、として、計算式にあてはめると給付額は表①のとおりです。給付基礎額については、表②の「収入額の目安と給付基礎額」なども参考ください。

なお、表①の父親は「自ら居住」の要件を満たしていないため対象外ですが、居住していれば、50歳以上で収入要件(※3)を満たすことで給付金の対象となります。現金取得者が給付の対象となるのは、住宅ローン控除との大きな違いです。

また、すまい給付金の特長は、表②からもわかるとおり、収入額が低くなるほど給付基礎額が大きくなることです。事例では、持分が最も多い息子の給付額がもっとも低くなります。すまい給付金制度が、住宅ローン控除の効果を得られない収入層の負担減を意図していることがわかります。

(※3)住宅ローンを利用しない場合は、年齢が50才以上(住宅引渡し年の12月31日時点)で収入額の目安が650万円以下(都道府県民税の所得割額が13.30万円以下)の場合に給付金の対象となる。

表1 給付額の例

住宅所得者給付基礎額 持分割合 居住の有無 給付額
息子
収入650万円
20万円 1/2 10万円
(20万円×1/2)
息子の妻
収入200万円
50万円 1/4 12.5万円
(50万円×1/4)
父親
収入300万円
50万円 1/4 居住していないため
対象外
【収入額の目安】(※4)
住宅ローンを利用する場合
給付基礎額 【収入額の目安】(※4)
住宅ローンを利用しない場合
給付基礎額
450万円以下 50万円 450万円以下 50万円
450万円超525万円以下 40万円 450万円超525万円以下 40万円
525万円超600万円以下 30万円 525万円超600万円以下 30万円
600万円超675万円以下 20万円 600万円超675万円以下 20万円
675万円超775万円以下 10万円

(※4)収入額の目安は、夫婦(妻は収入なし)及び中学生以下の子どもが2人のモデル世帯において、住宅取得する場合の夫の収入額の目安

「給付対象となる住宅の質に関する要件

すまい給付金は、良質な住宅ストックの形成を促す目的もあるため、住宅の質に関する一定の要件を満たした住宅が対象です。

【新築住宅】
・住宅ローンを利用している場合
住宅瑕疵担保責任保険へ加入した住宅または住宅性能表示制度を利用した住宅など施工中に検査(着工前の申込みが必要)を受けている住宅が対象です。

・住宅ローンの利用がない場合
施工中に検査を受けていることに加え、耐震性・省エネルギー性・バリアフリー性・耐久性・可変性に優れた住宅など住宅金融支援機構「フラット35S(2020年12月時点)」と同等の基準を満たしている等の住宅が対象です。

【中古住宅】
住まい給付金は、消費税が課税される住宅が対象です。よって、対象となる中古住宅は、売主が宅地建物取引業者である中古住宅(中古再販住宅)のみとなり、個人が売主となる中古住宅は対象外であることに注意しましょう。

・既存住宅売買瑕疵保険への加入など、売買時に第三者の現場検査を受け、耐震基準等一定の品質が確認された中古住宅が対象です。

すまい給付金の申請について

すまい給付金は、取得した住宅に居住した後、給付申請書に必要書類を添付して申請します。申請は、全国に設置するすまい給付金申請窓口へ持参するか、すまい給付金事務局への郵送申請も可能です。申請期限は、住宅の引渡しを受けてから1年3ヶ月以内です。

すまい給付金の申請は、住宅取得者(持分保有者)が行います。前出の例のように、持分保有者が複数の場合は、息子と息子の妻がそれぞれで行う必要があり、注意が必要です。なお、住宅事業者等による手続代行や給付金の代理受領も可能です。販売業者にも確認してみましょう。

自分の条件で試算し、最適な資金計画、返済計画を実現しよう

住まい給付金の効果を測るには、住宅ローン控除との併用など、自分のケースにあてはめて考えることが肝心です。源泉徴収票や住民税決定通知書などで自分や配偶者の納税額を確認し、住宅ローンの借入額、持分割合と照合します。

住宅ローンの借り方や返済方法には、様々なバリエーションがあり、個々の条件によって減税効果や負担軽減の度合も異なります。購入予算や資金の調達先、自分や家族の働き方や家計に適した資金計画や返済計画でないと「もったいない」プランニングとなってしまいます。
さらに、特例と言われる税制優遇は、住宅ローン控除もすまい給付金もみずから申告しなければ恩恵を受けられません。申請方法は、最寄りの税務署や国税庁のホームページ、すまい給付金サイト等で確認ください。
マンション等のマイホーム購入は、一生涯に何度とない大きな買い物です。消費税増税後も、住宅ローン控除やすまい給付金を始め、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置など、増税への負担軽減措置が講じられています。ただし、期間限定の特例もあり購入時期には注意が必要です。

さらに、中長期でのマイホーム取得計画の場合は、物件価格や住宅ローンの金利動向も気にしたい要素です。正確な情報を収集して自身の条件にあてはめ、無理なく無駄なく最適な資金計画で自分と家族にぴったりのマンションを選択ください。

※掲載の情報は2021年10月現在
※掲載の情報を著作権者に無断で転載・使用することはできません
※詳しくは税務署、関係省庁のホームページでご確認ください

ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
宅地建物取引士・産業カウンセラー・自分予算®プランナー
大石 泉

(株)リクルートにて週刊住宅情報(現SUUMO)の編集・制作に約15年携わった後、2000年に独立。
「住まい、キャリア、マネー」の3つの柱で個人の豊かな暮らしをサポート。