住宅ローンの借換え

※掲載の情報は2017年3月現在のものです。

住宅ローンの返済プランを見直してみませんか

経済が動いて金利が変動し、収入や支出といった家計の状況も変化しています。現在の金利水準は低く、数年前に借入れた住宅ローンであっても、プランによっては「借換え」によって総返済額を減らすことができる場合も多くあります。超低金利が続く中、住宅ローンを見直すことで我が家により適した住宅ローンプランにすることも可能です。今回は「住宅ローンの借換え」についてご紹介します。

「住宅ローンの借換え」について

住宅ローンの借換えは、現在返済中の住宅ローンを新たに借入れた住宅ローンで完済し、新たな借入先となる金融機関へ返済を行っていく仕組みです。現在の住宅ローン契約は終了し、新たな契約がスタートします。例えば、変動金利タイプの住宅ローンを固定金利の「フラット35」へ借り替えたり、「フラット35」を10年固定タイプに借り替えたり、A銀行からB銀行へ借り替えたりするケースなどがあります。

住宅ローンの返済プランを見直す場合は、繰上返済や返済条件変更などがありますが、これらは返済中の住宅ローンで行うため、現在の契約が継続します。一方の借換えは、金融機関が同じであっても、契約そのものが新しくなる点が異なります。

住宅ローンの借換えの事前準備

「借換え」を行う前にやっておきたいことは二つです。

●「現状把握」
現在の住宅ローンを確認します。残高、残りの返済期間、金利のタイプ(変動、固定、期間固定)、返済中の金利、返済方法、返済額など。特に、金利タイプについては重要です。固定期間タイプであれば、何年後に固定期間が終了するか。また、優遇金利が適用されているならば割引幅などもチェックしておきたいポイントです。

「希望の整理」
変更したい条件や見直したい項目をピックアップします。例えば、「世の中の金利が下がっているので自分の住宅ローン金利も下げられないだろうか」、「金利が上昇しそうなので、今のうちに固定金利へ変更したい」、「毎月返済額を減額したい」、「返済期間を短くしたい」など。希望条件やその優先順位によって、見直しプランも異なります。

後でも触れますが、借換えにはコストがかかります。この「現状把握」と「希望の整理」の事前準備ができれば、希望を叶える借換え以外のしかも低コストの方法を見つけることも可能です。まずは、現状把握と希望を整理してみましょう。

◎希望条件をピックアップし、見直し方法を考えてみましょう。

現在の住宅ローンへの変更希望項目 見直し例 対応策
低金利のうちに固定金利に切り替え、将来の金利上昇を回避したい 変動金利⇒固定金利 ○借換え
○金利タイプの変更
低い金利に変更し、毎月返済額を減額したい 金利タイプの見直し
・長期固定型⇒短期固定型
・固定型⇒変動型
・固定型⇒より低利の固定型
○借換え
○返済条件・金利タイプの変更
※変動タイプの場合は、金利上昇の可能性があるので注意。
ボーナス払いをやめたい 返済方法の見直し ○返済条件変更
余裕資金を投入し、総返済額を減らしたい 繰上返済 ○一部繰上返済(期間短縮・返済額軽減)
返済方法を見直して元本を早く減らしたい 返済方法の見直し
・元利均等返済⇒元金均等返済
○返済条件変更

住宅ローンの借換えは、効果とコストのバランスがポイント

返済期間短縮やボーナス返済をやめたいなど返済方法の変更希望は、返済中の住宅ローンの条件変更や繰上返済で対応できます。ところが、金融機関を変更するなどの場合は住宅ローンの借換えが必要です。条件変更より借換えの方が手数料等の諸費用が高くなるため、注意が必要です。

総返済額を減らしたいと低い金利の住宅ローンに借換えし、毎月返済額が下がっても、コストがかかって総返済額がそう変わらないとなれば、希望を叶えたことにはなりません。借換えメリットを決めるのは、金利差とコストです。

住宅ローンの借換えコスト(諸費用)

借換えは新たに住宅ローンを借入れるため、金融機関手数料、保証会社手数料、保証料、団体信用生命保険料、印紙税、登記関連手数料など、契約する住宅ローンによって差はありますが、諸々の費用が必要です。ただし借換えの場合は、返済が進んで残高が減り返済期間も短くなっているため、金額や期間に連動する諸費用(保証料や団体信用生命保険料等)は当初と比べると低くなります。

また、契約条件にもよりますが、現在の住宅ローンを解約することで保証料など返還される諸費用もあります。一方で、当初には不要であった、抵当権抹消費用などが新たに生じます。諸費用の項目や金額は金融機関や住宅ローンによって異なるため、前もって調べて比較検討し、もっとも効果のある借換え先を選択したいところです。金利の低さだけでなく、初期コストや返済中のコストなど、総合的な比較が重要です。

金融機関によっては、ホームページで借換えシミュレーションが簡単にできるサービスを行っているところもあります。自分だけで試算することが不安な場合は、ファイナンシャルプランナーなど、プロと一緒に試算し比較検討できると効率が良く効果的です。

●住宅金融支援機構「借換えシミュレーション」
http://www.simulation.jhf.go.jp/type/simulation/karikae/openPage.do

「残高⇒多い」「残返済期間⇒長い」ならば借換えを検証しよう

5年前に3000万円を長期固定の住宅ローン「フラット35」金利2.55%・35年元利均等返済で借入れた例で試算してみましょう。2017年3月現在の「フラット35」の金利は1.12%(返済期間21年以上借入金が住宅価格の90%以下の場合で、取扱い金融機関での最低金利)です。
※「フラット35」とは住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定の住宅ローン。

5年経過しているので残高は約2710万円。借換えが成立すれば、毎月返済額は108,054円⇒88,666円になり19,388円を減額できます。残りの返済期間30年分の減額合計は697万円にもなります。仮に、借換えに伴う手数料等を60万円支払ったとしても637万円のメリットが出る試算です。さらに、減額できた毎月19,388円を積み立てるなどして運用できれば、メリットはさらに大きくなります。

一般的にコストを支払ってもメリットが出る条件は、金利差1%以上、残高500万円以上、残返済期間10年以上が目安だと言われています。ですが、「借入残高が多い」「残りの返済期間が長い」場合は、金利差が1%未満でも借換え効果が出る場合も多く、試算をお勧めします。

住宅ローンの借換えで、自分にあった返済プランを実現しよう

借換えの手順は、「確認」⇒「把握」⇒「検証」です。先ずは、住宅ローンプランをどうしたいか、「返済額を減らしたい」「金利の上昇リスクを抑えたい」「返済期間を短くしたい」など希望条件を抽出、確認することから始めます。次に、現在の住宅ローンの状況や条件を把握。そして、借換え以外の選択肢も含めて希望条件が叶う方法を検討、検証していきます。

単純に住宅ローン残高と残期間を借り換える方法もあれば、借換えのタイミングで一部繰上返済をし、毎月返済額を金利差以上に減額したり、返済期間を短縮したりすることも可能です。どのような借換えをするかによって効果もコストも異なります。是非、希望条件を抽出して優先順位をつけておきましょう。「定年までに完済したい」「総返済額を減らしたい」のであれば、借換えの際に手持資金を投入し、期間短縮型の一部繰上げ返済を組み合わせると有効です。ただし、手持ち資金は余裕資金であることが原則です。住宅ローンプランへの希望条件を抽出して優先順位をつけたら、金融機関へ相談しプロのアドバイスを受けましょう。豊かな暮らしの実現へ向けて、住宅ローンを見直してください。

※掲載の情報は2017年3月現在のものです。
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ファイナンシャル・プランナー
(CFP®) 宅地建物取引士
産業カウンセラー・自分予算®プランナー
大石 泉

(株)リクルートにて週刊住宅情報(現SUUMO)の編集・制作に約15年携わった後、2000年に独立。
「住まい、キャリア、マネー」の3つの柱で個人の豊かな暮らしをサポート。