住宅ローンの繰り上げ返済

※掲載の情報は2017年2月現在のものです。

毎月決められた金額を長い期間にわたって返済していく住宅ローン

この住宅ローンの返済額を軽くしたり、返済期間を短くできる方法があることをご存じでしょうか。

住宅ローンの返済は金利が変わらなければ毎月返済額も変わらない元利均等返済が一般的です。ただし返済の途中で手元にまとまった資金ができた場合などには、通常の返済とは別に前倒しして返済する「繰り上げ返済」が可能です。この繰り上げ返済をすることにより、返済額の軽減や返済期間の短縮が可能になり、利息の負担を軽くすることができます。今回は、この住宅ローンの繰り上げ返済についてご紹介します。

繰り上げ返済とは

返済中の住宅ローンの元金残高の一部、または全部を前倒しして返済することを「繰り上げ返済」といいます。繰り上げ返済した分は元金にあてられるため利息の支払いが減り、総返済額を抑えられるメリットがあります。
例えば、3,000万円の住宅ローンを、金利1.50%、返済期間35年で借りた場合、返済総額は3,860万円近くとなり、完済までの利息は約860万円になります。繰り上げ返済をすることにより、この860万円の利息を軽減することが可能になるのです。
この繰り上げ返済には返済額を軽減するタイプと、返済期間を短縮するタイプの2種類があり、金融機関によってはどちらかを選ぶことができます。それぞれの特徴について説明していきましょう。

 返済額軽減型 返済期間短縮型
特長 元本をまとめて返済し、
返済額を減額する
元本をまとめて返済し、
返済期間を短縮する
残りの返済期間 変わらず 短縮される
毎月の返済額 減額される 変わらず
トータル利息 減額される 減額される

家計の状況を把握し、ご自分の希望にかなうものを選択しましょう
◎毎月返済額と返済期間のどちらを軽減したいか
◎総利益の軽減額はいくらか
◎将来を見据え、どちらの返済方法がご自分の希望に適しているか

※詳細は現在ご利用中の金融機関にお問い合わせください。

毎月の返済額を減らしたい場合は"返済額軽減型"の検討を

繰り上げ返済をすることにより、その後の毎月返済額を軽くするタイプが「返済額軽減型」です。毎月の返済負担を抑えることができるので、例えば子どもの教育費が増えたときなどに活用すると、家計をラクにできる場合もあるでしょう。

◎返済額軽減型の一例

住宅ローンの借入内容:借入額3,000万円、金利1.50%、返済期間35年 返済開始から5年後に約200万円を繰り上げ返済する場合、図表1のように5年後からの元金が減り、その分の利息が軽減されます。毎月返済額は当初91,855円だったものが84,922円となり、毎月6,933円軽減される計算です。完済までのトータルでは約50万円が軽減されたことになります。

図表1.返済額軽減型の繰り上げ返済の例(3000万円を35年返済で借り、5年後に200万円繰り上げ返済したケース)

返済期間を短くするには"返済期間短縮型"が効果的

毎月返済額は変えずに、返済期間を短縮するタイプが「返済期間短縮型」です。返済期間を短くできるので、例えば35年返済だと退職年齢を超えてしまい、老後もローン返済が残ってしまうケースなどに効果があります。月々の返済額が一定となる元利均等返済の場合、返済開始から早い時期ほど支払利息額を大きく軽減することが可能です。

◎返済期間短縮型の一例

住宅ローンの借入内容:借入額3,000万円、金利1.50%、返済期間35年 返済開始から5年後に200万円を繰り上げ返済する場合、図表2のように6年目からの元金が返済されるため、2年10カ月分の利息(約110万円)が軽減され、その分の返済期間が短縮されます。

図表2.返済期間短縮型の繰り上げ返済の例(3000万円を35年返済で借り、5年後に約200万円繰り上げ返済したケース)

ネットによる繰り上げ返済は手数料無料のケースが多い

支払う利息額を減らせるメリットのある繰り上げ返済ですが、実行する際に手数料がかかるケースがあるので注意が必要です。ただし、最近ではネットで手続きする場合に手数料を無料にしている銀行が多いので、事前に確認しましょう。 また、繰り上げ返済額は1回あたり1万円以上などとしている銀行が多いのですが、なかには1円以上から無料で受け付けている銀行もあります。なお、フラット35はネットでの手続きの場合、1回あたり10万円以上です。

ご自身のライフスタイルに合わせた返済プランを

毎月の返済額を減らしたり、返済期間を短くしたりできる繰り上げ返済は、ローン返済がスタートした後に返済プランを見直すのに有効な方法です。最初から返済期間を短く組むと支払う利息は減らせますが、毎月返済額が重くなったり、借りられる額が少なくなることもあります。そこで当初は35年返済で借りておき、家計に余裕のある時期に資金を貯めて繰り上げ返済することで、返済期間を短くすることもできるでしょう。

ただ、繰り上げ返済は必ず実行しなければならないものではありません。繰り上げ返済をし過ぎたために手元資金が足りなくなったり、生活にゆとりがなくなってしまっては本末転倒です。繰り上げ返済を検討する際は、緊急時の予備資金や教育資金、老後資金といった必要なお金を確保できることを確認したうえで、無理のない範囲で実行することをお勧めします。

余裕資金の使い道は家族サービスや旅行代、お部屋のリフォームなどいろいろあります。豊かな人生のための「価値あるお金の使い方」を意識し、効果的な使い方を選択してください。繰り上げ返済がその選択肢の一つとなれば、上手に利用されるとよいでしょう。

※掲載の情報は2017年2月現在のものです。
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住宅系シンクタンク「オイコス」代表
大森 広司

住宅ジャーナリスト。SUUMO、All About、日経DUALなど情報誌やネットで住宅関連全般にわたって取材・執筆活動を続けている。
著書に『はじめてのマイホーム 買うときマニュアル』(日本実業出版社)、『新築マンション買うなら今だ!』(すばる舎)などがある。