「住宅ローン減税」と「すまい給付金」

※掲載の情報は2017年3月現在のものです。

所得税・住民税が還付される「住宅ローン減税」

住宅ローン減税は、住宅ローンを利用して住宅を新築、取得、増改築を行う場合の特例です。
各年末の住宅ローン借入残高の1%相当額が10年間にわたって所得税から還付され、控除しきれなかった金額は住民税から還付される仕組みです。具体例でみてみましょう。
例えば、4月に3,000万円の住宅ローンを借入れてマンションを購入した場合で考えます。今年の年末時点の借入残高が2,900万円だとすると、その1%=29万円が所得税から還付されます。
納めている所得税が30万円であれば29万円は全額還付、そして、所得税額が10万円であれば、納税額以上には控除されないため還付額は10万円です。自分の還付額は、源泉徴収票等にて所得税額を確認するとわかります。なお、控除枠が29万円、所得税額が10万円の場合、還付を受けられなかった19万円(29万円-10万円)は、住民税の還付対象とります(上限値あり)。

「住宅ローン減税」の最大控除額は400万円!検討したい共働きの借入れプラン

前項のとおり「住宅ローン減税」は、年末の借入残高の1%が所得税と住民税から還付される仕組みです。控除対象となる住宅ローンの借入残高には上限があり、消費税が8%に引き上げられたタイミングで拡大されました。控除対象となる年末借入残高の限度額は一般の住宅で4000万円。長期優良住宅等の場合は5000万円です。

入居後の10年間を通じて借入残高が4000万円以上あれば、控除額は400万円(=4000万円×1%×10年間)です。ただし、あなたの所得税と住民税が40万円に満たなければ、控除の恩恵を最大限に受けることはできません。そのような場合、所得税を納めている配偶者がいるならば、4000万円の借入れを、夫2500万円、妻1500万円などと二人で借入れることによって、控除額を夫25万円、妻15万円と振り分けることができ、結果的に二人で40万円の控除を受けることも可能です。

注意したい中古住宅取引

「住宅ローン減税」を利用する際に注意したいのは、中古住宅を購入する場合です。先の「住宅ローン減税」の拡大は、消費税率引上げに伴う措置だったため、課税業者ではない個人から購入する中古住宅取引のような場合は住宅価格に消費税は課税されず、控除の拡大はなされませんでした。消費税がかからない中古住宅の控除対象となる年末残高は、一般住宅で2000万円、長期優良住宅等で3000万円です。特例を利用する際は、「自分の場合はどうだろう」と具体的に試算することが大切です。

表1住宅ローン減税比較表 ※()内は、認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅の適用値

居住開始
年月、対象住宅

年末残高の
限度額
控除率 各年の
控除限度額
最大控除額 控除期間 住民税からの
控除上限額
~平成33年12月末
消費税8%・10%の住宅
4,000万円
(5,000万円)
1.0% 40万円
(50万円)
400万円
(500万円)
10年 136,500円
消費税が非課税の中古住宅 2,000万円
(3,000万円)
1.0% 20万円
(30万円)
200万円
(300万円)
10年 97,500円

「すまい給付金」は、現金給付で負担を軽減

「すまい給付金」は、消費税率引上げによる住宅購入者の負担を緩和するために導入された制度です。先にご紹介した「住宅ローン減税」は、支払っている所得税等から控除する仕組みであるため、収入が低いほど減税効果が小さくなります。
すまい給付金制度は、住宅ローン減税の拡充による負担軽減効果が十分に及ばない収入層に対して、住宅ローン減税とあわせて消費税率引上げによる負担の軽減をはかるものです。収入によって給付額が変わる仕組みで、収入が低いほど給付基礎額は大きくなります(表2参照)。以下、ポイントを確認しておきます。

(参考)国土交通省「すまい給付金サイト」 http://sumai-kyufu.jp/index.html

「給付額」は、年収と持分できまる

すまい給付金の給付額は、上記の計算式できまります。住宅ローン控除のように「借入残高の1%」という形式ではなく、「給付基礎額」は、10万円・20万円・30万円の3種です(消費税率8%の場合)(表2参照)。

「給付基礎額①」は、収入額の目安(都道府県民税の所得割額)によって決まるため、市区町村が発行する個人住民税課税証明書に記載されている「都道府県民税の所得割額」で確認する必要があります。サラリーマンは、毎年6月頃に発行される住民税課税決定通知書をご確認ください。(表2参照)
「持分割合②」とは、住宅に対する所有権の割合です。例えば、4,000万円の住宅を取得するケースで考えてみましょう。父親が1,000万円の頭金を出し、息子が2,000万円、息子の妻が1,000万円の住宅ローンをそれぞれ借入れて3人の共有名義とする場合は、父親が4分の1、息子が2分の1、妻が4分の1の持ち分を持つこととなり、これを登記簿に記載します。土地には消費税がかからないため、すまい給付金では建物の登記事項証明書(権利部)で持分割合を確認します。

表2 給付額の例

住宅所得者持分割合 居住の有無 給付基礎額 給付基礎額
父親
収入200万円
1/4 30万円 居住していないため
対象外
息子
収入500万円
1/2 10万円 5万円
(10万円×1/2)
息子の妻
収入400万円
1/4 30万円 7.5万円
(30万円×1/4)

すまい給付金の特長は、給付基礎額の表3でもわかるとおり、収入額が低くなるほど給付基礎額が大きくなることです。事例では、持分が最も多い息子の給付基礎額がもっとも低くなります。すまい給付金制度が、住宅ローン減税の効果を得られない収入層の負担減を意図していることがわかります。

なお、この例では父親は、すまい給付金の要件の一つである「自らが居住すること」を満たしていないため、持ち分があっても給付の対象外です。当制度には、このほかにも対象となる人の要件や住宅の要件があります。 詳細は、国土交通省「すまい給付金サイト」http://sumai-kyufu.jp/index.htmlを参照ください。

(参考)国土交通省「すまい給付金サイト」 http://sumai-kyufu.jp/index.html

自分の条件で試算し、最適な資金計画、返済計画を実現しよう

「住宅ローン減税」や「すまい給付金」の効果を計るには、自分のケースにあてはめて考えることが肝心です。源泉徴収票や住民税決定通知書などで自分や配偶者の納税額を確認し、住宅ローンの借入額、持分割合と照合してください。住宅ローンの借り方や返済方法には、様々なバリエーションがあります。
また、個々の条件によって減税効果や負担軽減の度合も異なります。購入予算や資金の調達先、自分や家族の働き方や家計に適した資金計画、返済計画でないと「もったいない」プランニングとなってしまいます。

さらに、特例と言われる税制優遇は、「住宅ローン控除」も「すまい給付金」もみずから申告しなければ恩恵を受けられません。申請方法は、最寄りの税務署や国税庁のホームページ、すまい給付金サイト等で確認ください。

マンション等のマイホーム購入は、一生涯に何度とない大きな買い物です。それゆえ、「住宅ローン控除」、「すまい給付金」、「住宅取得等資金の贈与の特例」などのバックアップ策も講じられています。正確な情報を収集してご自身の条件にあてはめ、無理なく無駄なく最適な資金計画で最高のマンションを購入ください。

※掲載の情報は2017年3月現在のものです。
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ファイナンシャル・プランナー
(CFP®) 宅地建物取引士
産業カウンセラー・自分予算®プランナー
大石 泉

(株)リクルートにて週刊住宅情報(現SUUMO)の編集・制作に約15年携わった後、2000年に独立。
「住まい、キャリア、マネー」の3つの柱で個人の豊かな暮らしをサポート。